ヘルニアとは?ぎっくり腰が原因に?|名古屋市昭和区御器所の接骨院
目次
2021/12/10
1. はじめに
腰痛や首の痛み、手足のしびれという症状は、多くの人が一度は経験するものです。その原因として最も良く名前が出る疾患のひとつが「椎間板ヘルニア」です。しかし「ヘルニア」の意味、なぜ起こるのか、どう予防すべきか、どこまで治るのか、という点において誤解があることも多いのが現実です。
このガイドは、医学的・解剖学的な正確性を保ちながら、専門用語を丁寧に説明し、一般の方にも理解しやすい構成としています。ご自身の症状の理解、医師・治療者への相談の助けになれば嬉しいです。

2. ヘルニアとは何か:基本定義と語源
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「ヘルニア(hernia)」という言葉は、ラテン語で「突出」「脱出」を意味します。すなわち、本来あるべき位置から何かがはみ出してしまう状態を「ヘルニア」と呼びます。
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医学的には、組織や臓器、または体内構造物の一部が、その周囲の構造を超えて移動・突出し、それが近くの構造(特に神経など)を圧迫または刺激することで症状を起こすもの。
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ヘルニアにはいくつか種類がありますが、日常でよく聞くのは椎間板ヘルニア(腰・頸部)です。他にも、鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、肘ヘルニアなどがあります。
3. 解剖学・生理学の基礎:椎間板の構造と機能
椎間板ヘルニアを理解するためには、背骨(脊柱)の構造を知ることが不可欠です。

背骨(脊柱)の構造
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脊柱は頸椎(首の部分:C1〜C7)、胸椎(胸の部分:T1〜T12)、腰椎(腰の部分:L1〜L5)、仙椎・尾骨から構成されます。
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骨(椎骨)同士が連なっており、その間に椎間板があります。
椎間板の構造
椎間板は大きく2つの部分から構成されます。
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髄核(nucleus pulposus)
ゼリー状の内部組織。水分を多く含み、圧を分散する役割がある。 -
線維輪(annulus fibrosus)
髄核を包む外側の丈夫な繊維組織。複数の層構造を持ち、負荷を支持する。
椎間板の生理的役割
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緩衝作用:椎骨同士の衝撃を吸収する。
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可動性:曲げる、ひねる、伸ばすなどの動きを可能にする。
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適切な高さを保つことで、神経孔(神経が出入りする隙間)を確保する。
4. 椎間板ヘルニアの病態生理
ここでは、どういう経過で椎間板がヘルニア状態になるかを解説します。
椎間板内で起こる変化
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加齢変性:年齢を重ねるにつれて椎間板の水分含有量が減り、柔軟性・弾力性が低下する。線維輪の裂け目が生じやすくなる。
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繰り返される負荷による微小損傷:長時間の悪い姿勢・腰への過度の反復的なストレスが椎間板に累積的にダメージを与える。
飛び出す過程
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線維輪にひび・裂け目が発生
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髄核がその裂け目を通じて突出し始める(プロトルージョン)
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完全に外側に飛び出す状態(エクストルージョン)
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ケースにより完全に分離して散逸するものもある(セクエストレーション)
神経への影響
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突出した椎間板が外側や後側に滑り、脊柱管または神経根を圧迫
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圧迫だけでなく、炎症性の物質(サイトカインなど)が周辺で発生し、神経を刺激
5. 発生要因(原因/危険因子)
椎間板ヘルニアが起きやすくなる条件・習慣を整理します。複数が重なってリスクが高まります。

不良姿勢の具体例
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猫背
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骨盤の後傾
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長時間の前傾姿勢(デスクワーク、スマホ操作)
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足を組む、あぐら、横座りなど
その他の誘発要因
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事故・外傷
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急激な動作(ひねり・曲げ伸ばし等)
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妊娠中の体重増加や荷重変化
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栄養状態や生活習慣(ビタミン、ミネラル、水分補給など)
6. 臨床症状:痛み・しびれ・その他の徴候
椎間板ヘルニアの症状は、突出した椎間板がどこに何を圧迫しているかによって異なります。
主な症状
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局所痛
腰部痛(腰椎椎間板ヘルニアの場合)、頸部痛(頸椎椎間板ヘルニアの場合) -
神経根症状(radiculopathy)
→圧迫された神経根に沿って腕・脚に放散する痛み・しびれ・感覚異常 -
運動障害
筋力低下、歩行障害など -
反射の変化
神経が圧迫されることで、膝反射・アキレス腱反射などが減弱または消失することがある -
感覚異常
しびれ、チクチク感、麻痺、知覚鈍麻など -
重症時・合併症
排尿・排便障害、性機能障害等
発症の経過
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急性期:突然の痛み、強い神経痛
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慢性期:痛みが和らぐが、しびれや違和感が残る/繰り返す
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発作と緩解を繰り返すケースも多い
症状の出方の差
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人によって強い痛みがあっても神経障害が軽いこともある
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症状がじわじわ進行するもの、急に発症するものもある
7. 診断法:どのように「ヘルニア」と診断するか
適切な診断により治療方針が決まります。以下のようなステップがあります。
問診
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発症時期・経過
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痛みの性質(鋭いか鈍いか・持続性か間欠性か)
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痛み・しびれの位置・程度
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悪化・緩和させる動作・体勢
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過去の腰痛歴・外傷歴、生活習慣など
身体診察(視診・触診・神経学的検査)
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姿勢や動作の観察(立位・歩行・前屈・伸展など)
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可動域の測定
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筋力テスト、感覚検査、反射検査
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特定の神経根を刺激するテスト(例えばラセーグ徴候、スパーリングテストなど)
画像診断(接骨院では撮影できません)
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X線(レントゲン)
骨の変形や整列状態、椎間隙の狭さなどを見る(ただし椎間板そのものは映りづらい) -
MRI(磁気共鳴画像)
髄核の飛び出しの位置・程度、神経の圧迫具合、周囲組織の炎症の有無などを詳細に評価できる -
CTスキャン(場合によって)
骨の状態や複雑な形状が関与する場合に有用
補助検査(接骨院では行えません)
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電気生理検査(神経伝導速度・筋電図など)で神経障害の程度を調べることがある
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血液検査で炎症反応や感染の可能性を除外
8. 治療法:保存療法から手術療法まで
椎間板ヘルニアの治療は、「保存的治療(手術をしない方法)」がまず第一選択となることが多く、手術はある条件下で考慮されます。
保存療法
以下のようなアプローチが主に使われます。
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安静と活動制限
痛みが強い時は動きを制限するが、完全な寝たきりは避ける。徐々に活動を戻す。 -
薬物療法(医師による処方)
鎮痛剤(NSAIDsなど)、筋弛緩剤、神経障害性疼痛に効く薬など -
理学療法/物理療法
温熱療法、超音波療法、電気刺激療法、牽引療法など -
運動療法/リハビリテーション
ストレッチ、筋力強化、体幹トレーニング、柔軟性の向上など -
生活指導
姿勢改善、体重管理、荷重のかけ方、日常動作の工夫など -
補助具使用(場合によって)
腰椎サポーター、首のカラーなど
手術療法
保存療法で改善がみられない、または重症で生活に大きな支障がある場合には手術が検討されます。
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椎間板切除術(ディスク切除術)
突出部を除去し、神経の圧迫を軽減する手術 -
椎間孔拡大術
神経が通る穴を広げることで圧迫を和らげる -
内視鏡手術
侵襲が少ない手術法で、回復が比較的早い -
椎間固定術
椎間板の変形などが激しく、不安定性がある場合には椎間を固定する手術をすることも
治療選択の判断基準
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症状の強さと持続期間
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日常生活・仕事にどのくらい支障があるか
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神経学的所見(筋力低下・反射異常・排尿排便障害など)
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画像診断での突出度・神経圧迫の程度
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患者様の年齢・全身状態・手術リスク
9. 日常生活での予防法・セルフケア
一度症状が出た後の再発防止、および未発症者にとっての予防が非常に重要です。以下の方法を習慣にすると良いでしょう。
姿勢の見直し
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頸部・腰部を真っ直ぐ保つ(パソコン・スマホ操作時の姿勢を意識)
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骨盤を立てる意識を持つ(骨盤前傾・後傾のバランス)
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足を組む・あぐら・横座りを避ける
適切な動作
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物を持ち上げるときは膝を曲げて腰ではなく脚の力を使う
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中腰・ひねり動作を減らす
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長時間同じ姿勢を続けない(30〜60分毎にストレッチや休憩を入れる)
筋力・柔軟性の強化
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体幹(コア)筋群のトレーニング:腹筋・背筋をまんべんなく鍛える
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ハムストリング(太ももの裏)・股関節周辺・胸郭(胸椎)の柔軟性を高めるストレッチ
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有酸素運動(ウォーキング・スイミング等)で血流改善
生活習慣の改善
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適正体重の維持
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バランスの良い食事(軟骨を作るためのタンパク質・コラーゲン・ビタミン・ミネラルなど)
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十分な睡眠と水分補給
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禁煙(血流不良や椎間板の栄養供給低下のリスクあり)
サポート・補助
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適切なマットレス・寝具の使用(腰・首への負荷を減らす)
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靴選び:クッション性・フィット感が良いものを
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ワーク環境の工夫(椅子・デスクの高さ・PCモニターの位置など)
10. なごみ鍼灸接骨院御器所院での施術アプローチと実例
ここでは、当院がどのように椎間板ヘルニアの方を診て、どのような施術・指導を行っているか、実例を交えて紹介します。

当院の特徴的なアプローチ
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姿勢評価の徹底:立位・歩行・座位・前屈など複数の姿勢をチェックし、骨盤の位置や背骨のカーブを評価
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触診・関節可動域チェック:どの椎間がどの方向に動きが悪いか・過剰かを見極める
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鍼灸施術:痛みやしびれに対する即効性を狙う治療。炎症を抑え・神経の過敏を軽減するための施術を行うことがある
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接骨(整骨)施術:手技療法、矯正的な調整、モビリゼーション等により関節・筋膜の可動性を改善する
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物理療法との併用:超音波・電気治療・温熱などを適宜取り入れることで痛みの緩和・血流改善を図る
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運動療法指導およびセルフケア指導:柔軟性ストレッチ・筋力強化・日常の姿勢・動作の改善を患者様と共に計画
実例紹介
(個人情報を匿名化)
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ケース A:腰痛・片脚のしびれを訴えて来院した 45 歳男性
症状:立ち上がり・歩行時の腰の痛み、右脚のしびれ。MRI にて L4–L5 の椎間板突出+右神経根圧迫あり。
処置:初週は安静と物理療法+通院施術にフォーカス。次週以降、体幹筋力強化ストレッチ・姿勢矯正を段階的に導入。約6週間でしびれ・痛みともに改善。日常生活に支障ないレベルに回復。再評価で姿勢のクセ・筋力不足が残っていたため、自宅でのセルフケア継続を指導。 -
ケース B:首の痛み・腕のしびれを訴えた 30 代女性
症状:スマホ操作時の首肩コリ → 指先のしびれ。MRI では C5–C6 に軽度の椎間板変性・突出。
処置:鍼灸+マッサージで初期の痛み緩和、その後頸部周囲の柔軟性を上げるストレッチと肩〜肩甲骨の可動域向上運動を毎日のルーティンに組み込む指導。3か月後にはしびれ減少、痛みの頻度が激減。
成果と再発予防
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痛み・しびれの改善率や患者満足度の調査結果(例:来院した方の約80〜90%が3ヶ月以内に日常生活での支障が軽減した)
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再発を防ぐためのフォローアップ体制(定期チェック、セルフケアの継続サポート)
11. 合併症・悪化の兆候(チェックリスト)
ヘルニアが進行・悪化したり、合併症を引き起こしたりすることがあります。次のような症状がある場合は、早急に専門医・病院に相談してください。
これらが出たら、放置せずに整形外科医との連携を図り、画像診断や必要な処置を速やかに行うことが重要です。
12. 最新の研究・将来の方向性
医療は常に進化しています。椎間板ヘルニアに関しても次のようなトピックが注目されています。
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幹細胞療法・再生医療:椎間板の線維輪・髄核の再生を目指す研究
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バイオマテリアル:椎間板補填材や人工ディスクの改良
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微小侵襲手術技術:内視鏡やロボット支援手術の精度・安全性向上
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画像診断の進歩:MRI の高分解能化・機能的MRI(血流・炎症マーカーの可視化など)
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AI・機械学習による予後予測・診断支援:患者データからどの治療法が最も効果的かを予測するモデルの研究が進んでいる
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リモートモニタリング/テレリハビリ:遠隔でのケア指導・フォローアップの可能性
13. まとめ
椎間板ヘルニアは、多くの人が一度は耳にする疾患ですが、その実態は「単に痛む病気」ではなく、解剖学的・生理学的な変化の集積であり、日常生活の習慣や身体の使い方が大きく関与するものです。
正しい知識、早い対応、継続的なケアがあれば、多くの症例で痛みやしびれは軽減し、再発を防ぐことができます。あなた自身または周りの大切な方が悩んでいるなら、このガイドの内容を参考にしてみてください。
14. よくある質問(Q&A)
Q1. ヘルニアがあっても手術しなくて済むケースはどれくらいある?
A. 多くの椎間板ヘルニアは、適切な保存療法および生活習慣の改善で改善します。重症度や症状の持続・神経障害の有無によりますが、保存的治療が有効なケースが多数あります。
Q2. ヘルニアの予防に効果的な運動は具体的にどんなもの?
A. 体幹筋(腹筋・背筋)、ハムストリング・股関節屈曲/伸展、腰椎の可動性を改善するストレッチ、有酸素運動などが有効です。
Q3. 治療中どのくらいで効果を感じるもの?
A. 痛みの強さ・発症期間・治療内容・個人差などにより異なりますが、一般的には数週間〜数ヶ月で徐々に改善することが多いです。
Q4. 日常で絶対に避けたほうがいいことは?
A. 重いものを腰を曲げたまま持ち上げる、長時間の中腰・ひねり、極端な姿勢での固定などは避けるべきです。
Q5. 再発を防ぐ最重要ポイントは?
A. 継続的な姿勢の意識、体幹筋力の維持・強化、柔軟性の確保、生活習慣(体重・睡眠・ストレス管理など)全体の見直し、そして早めの対処です
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記事監修者:宮原 雅彦
柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師(国家資格)・専科教員資格(柔道整復師養成校教員資格)
コメント:五十肩は、施術をすることにより確実に良くなる症状です。
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